B.N.Fという単語を聞いたことがありますか?これだけだと、何の略語かすらわかりませんね。
マスコミの間での通称「ジェイコム男」といった方がピンと来るでしょうか?
ジェイコム株大量誤発注事件で話題となった、伝説的な個人投資家です。
2ちゃんねるにこのハンドルネームで投稿しており、本名は非公開。
株のトレードだけで生計を立てている、自称無職の男性です。
B.N.F氏と投資の出会いは大学時代。
貯金やアルバイトで得た160万円を原資に、株の世界に入りました。
その天才的な相場感を発揮し、開始から4年後には、総資産は1億円を突破。
指南書など一切ない時勢、独自の手法を確立し、信用買いやカラ売りといった手法を一切使わず、現物取引だけで、上昇相場だけでなく、下降相場でも利益を上げていました。
そして、20億を1日で稼いだジェイコム誤発注事件の起きた当時には資産は80億円を突破。
とてつもないペースで資産を増やしています。
無職のステータスで資産を億単位まであっという間に増やした様は、当初話題となっていた「ニート」のイメージとも相まって、ネオニートなどと形容されていました。
株式投資で資産を大きく増やすには、信用取引に頼らざるを得ないイメージが強いですが、彼はその目を見張るような成果を現物取引のみであげているのです。
2005年のジェイコム誤発注事件でマスコミに取り上げられて以来、伝説として一躍有名になり、顔写真が新聞の一面を飾ったこともあります。
そのころから、不動産投資にも手をだし、秋葉原の商業ビル1棟を数十億、数百億といった単位で購入。
そんなB.N.F氏の生活はさぞ贅沢の限りを尽くしているものかと思いきや、意外とそうでもない。
億単位の豪邸を地元市川市と、東京港区に持ち、親に高級車をプレゼントした以外は目立ったような贅沢を行うこともなく、専用のトレードルームに引きこもって、トレードをしているのだとか。
外出にも、食事にも、あまり興味はなく、こだわりもないよう。
となると、服にもお金をかける必要はないですね。
本人曰く、お金を稼ぐことにも、すでに興味はないようです。
ただ、そこに資産を増やす機会があるから、機械的に取引を続けているようです。
表舞台からはすっかり姿を消した彼ですが、現在も四季報に企業の大量株保有者として、個人の名前が載ることがあるそう。
天才トレーダーの手腕は、投資の裏の世界では今日も振るわれているのでしょうか。
噂によると、かの孫正義氏が、彼に資産運用を依頼したこともあるとか。
伝説はとどまるところを知りません。
20億も儲けたジェイコム株大量誤発注事件
そんなB.N.F氏を一躍有名にしたのが、ジェイコム誤発注事件。
この時彼が出した「20億」という利益は、個人投資家が出したものとしては、最高額のものでした。
2005年12月8日、新規上場したジェイコム株の売り注文を出そうと、機関投資家のみずほ証券に勤務していた男性が注文を入力した。
「1株61万円」での売り、を意図して、「61万株1円」という注文を。
この時、イレギュラーを知らせるアラートが出てきたものの、そのアラートは頻繁に出てくるものであったため、警告を無視。
この大量の売り注文によって、特別買い気配が出ていたものがほんの数分でストップ安に張り付いた。
誤発注を行った男性は、直後に気が付き、東証に連絡をいれるも、東証のシステム側でもこの注文を取り消すことはできず、みずほ証券は反対売買を実行。
その後も株価が乱高下するパニックは収まらず、翌日には取引が停止。
みずほ証券は一連の騒動にて400億円もの損失を出しました。
当時、誤発注に乗じて莫大な利益をあげた機関投資家が、自民党の要請を経て利益の自主的返還を行った傍ら、みずほ証券はシステムエラーにより損失が拡大したと主張し、東証を告訴しました。
一方で、この誤発注で莫大な利益を得ていた個人投資家がB.N.F氏でした。
同日、7100株を取得し、うち1100株を売却。
残る6000株を現金決済することにより、20億の利益を得ていたのです。
すべて現物取引です。
この際、大量所有報告書に「無職」と記載したこともマスコミでもとりあげられ、話題になりました。
本人にとっても、最大の利益を出した取引でしたが、その心中はいたって冷静だったとのこと。
世間では、「たまたま」稼いだイメージもあるようですが、彼の伝説の中の一つに過ぎないものだったのです。